美魔王さまと結婚したなら
あくる日の父と息子
「父さん、もう双子のグッズはいっぱいですよ!夏美もそろそろ要らないって言ってますよ」
僕がため息つきつつ、懲りずにベビー服に手を伸ばす父を見ながら言えば。
「だって、ジェイド!夏美の双子は何と男女の双子だって言うんだよ!これは男の子らしいのと女の子らしいので双子らしい服を買わないと!」
そうかなのか。
父からの言葉に父の実子で、俺には義理の妹になる夏美を思い浮かべる。
夏美は日本人の雰囲気はあれど父の子なので、肌は白く髪はブラウン色で瞳は父と同じオッドアイだ。
昔、父が眺めていた麗蘭さんという夏美の母と顔の形は瓜二つな夏美は、その性格も麗蘭さんに似ていると父はほわほわ顔で話す。
父の愛する女性は、麗蘭さんただ一人。
僕が引き取られた頃、麗蘭さんの死を知ったらしく落ち込んでいたけれど、毎年のお墓参りを欠かさず、父はその後持ち直しても尚、その愛は変わらなかった。
そこまで愛せる人に出会えた父は幸せだと思う。
僕は父の妹の息子だったが、実の両親は冷めきっており関係は破綻。
そこにいた子どもにすら関心を寄せない。
ネグレクトだった。
そんな僕を、伯父である今の父が引き取りに来た。
「ジェイド。僕は伯父だけど、今日からは君の父だよ。僕はもう子どもを持つことが出来ない。だからこの家は君が継いでおくれ」
そうして連れられてきた侯爵邸は、お城だった。