美魔王さまと結婚したなら
職場になんの前触れもなく突撃してきた父に対して、智子さんはあらあらという顔をしつつお茶を入れて出してくれた。
本当に素敵な人だよ、智子さん。
「エドさん、初孫でしょう?孫は可愛いわよ!しかも一気に二人なんて羨ましいわぁ」
「ふふ、僕もとても幸せだよ!智子さんの所は女の子だったね!」
「えぇ、娘の時とはまた違う可愛さよ!もうね、責任無いから可愛がるだけ可愛がるのよ!」
「あぁ、僕も今から楽しみで仕方ないです!夏美に似た女の子!あるいは麗蘭に似た女の子だったら!もう可愛くてじいじはどうにもなりません!」
二人はあっという間に孫談義を始めた。
父に関して言えばまだ、産まれてないんだが…。
もはやすでに初孫フィーバーである。
ガチャとドアが開いて明さんが戻ってきた。
室内に父がいても驚いていない。
あれ?なぜ?
そう思ってみると、明さんが言った。
「昨日夏美が風呂に入ってるあいだに連絡来ててな。今日から孫が産まれるまで日本に住むと言ってきたから。ここに来るのは分かってた」
そう言うので、すかさず言った。
「それは、私にも言っといて!びっくりするから」
ため息混じりに物申したのだった。