生徒だけど寮母やります!3




* * * *



その頃



「はーいじゃあみんな学科授業頑張ってね〜」


毎日のお決まりのセリフで1日を締め、担任が教室から出て行く



ここ1年3組は学科授業でも使用されることがあるため、生徒たちは居残ることなく素早く帰り支度を始めた




「テスト返却されて学科授業も始まって、あー今日テンション下がるぅー」


誰に向けて発したのかよくわからない愚痴をこぼすクラスメイトを無視して、千冬は席を立つ



「えっ、待ってよ。ちふゆん、今日いつもの大荷物は?」


大荷物、とは真面目な千冬がいつも学科授業に向かう際に抱えている大量の資料集や教科書のことだろうが.....


今日に限ってそれを抱えていなかったことを呼び止められるように指摘され、千冬は彼を振り返った



「今日俺ないんだ。学科授業」

「なんで!?」

「先生が出張でいないから。ないっていうか、寮で自習する」

「い......いいなぁ〜〜〜」



どっちにしろ勉強するわけだから何がそんなにいいのかはよく分からないが、目の前のクラスメイトはよっぽど学科授業に行きたくないらしい




「いやだって、こないだまで夏休みだったのにさー」


「まぁ分からなくもないけど......」


「それに今日、先輩たちみんな機嫌悪りぃんだよな」


「みんな?」


「なんか、修学旅行の件でいろいろ大変なことが有るとか無いとか」


「へぇ........」

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