生徒だけど寮母やります!3
「......」
ローファーを片手に持ったまま、その場でしばらく固まる
「待てぇぇぇえええ!!」
「寮母ォォォォオアアア!!」
なんか嫌な予感がするなぁ......
数秒後
そんな予感が的中して、男たちに捕まって連行される景が目の前を通った
「しくしくしく」
「強引で悪いな。何もアンタいじめようって言ってんじゃないから」
「アイツに会わせて欲しいだけなんだ」
「咲夜からは特にアンタには迷惑かけるなって釘刺されてるから、内緒な」
何の話だ.......?
両腕を男たちに掴まれて歩かされている景の姿は、何とも可哀想だ
なんか厄介なことに首を突っ込んでしまいかねないけど......
とは言え見捨てることはできない
千冬は目の前を通り過ぎていく男たちの背中に声をかけた
「あの、うちの寮母さんに何か用ですか?彼女、これから男子寮Bに行く時間だと思いますけど」
首だけ振り向いた景が、嬉しそうに「千冬君!」と顔を明るくした
景の右手を掴んでいる男が、立ち止まり怪訝そうな表情で尋ねる
「なんだ?男子寮Bの1年か?」
「はい」
「妖術科か?」
「僕ですか?そうですけど.......」
千冬の回答に、男子生徒たちは笑顔を見せる
不気味だ........
彼らは言った
「教えてやるよ。これは妖術科にとって死活問題なんだ」
と。