生徒だけど寮母やります!3


その場で軽く話を聞くと


つまり死活問題とは修学旅行の行き先が

海外か国内か......



そういえばクラスメートがついさっき、先輩たちが修学旅行の件で機嫌が悪いと嘆いていたが


これのことだ



千冬は景の腕をガッチリと掴む男子生徒たちを一瞥して、気付かれない程度に小さくため息をついた



修学旅行の行先は、もはや関係ない

魔術科も妖術科も国内ならば、こんなに大事にはなってないのだろう


魔術科と妖術科でこんなにも待遇の差があるから先輩たちは虫の居所が悪いのだ



だから伊吹先輩に会わせろと......




「分かったか1年。そういう事情があるわけだから、あんまり悪く思うな。お前も妖術科として悲しいだろ?」


諭されるようにポンと肩に手を置かれた千冬は、自分よりも一回り背の高い男子生徒を見上げる



「伊吹先輩なら僕が寮から引っ張り出しますよ。だから寮母さんをそんな風に掴まないでください」


「ほんとか!?」

「1年、ナイス!」

「話が分かるじゃん!何組?土産持ってくよ」


表情をパッと輝かせる男子生徒の中で、景は目と口を丸くして衝撃を隠さない



そんな彼女の手首をパッと掴むと、千冬は「行きますよ」と強気に先輩たちを振り返った
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