生徒だけど寮母やります!3
玄関にて
「出てきたぞ伊吹!!」
「お前!何で俺らがここにいるかわかってんだろ!」
気迫のある妖術科勢を前にして、結斗は「あ〜はいはい」と少々面倒くさそうな反応をする
黒のスキニーパンツのポケットに手を突っ込み、グレーのロングカーディガンを揺らしながらマイペースに歩みを進める結斗
パタ、パタと鳴るスリッパの音は、彼らの目の前でピタリと止まった
「はいはい。で、君たちも海外に行きたいと」
「まだ何も言ってねえぞ」
「何だその偉そうな言い方は」
「俺たちも海外に行きたいんだよ」
結斗の一挙手一投足が気に入らない彼らは常時、喧嘩腰になりながらも首を縦に振る
「なんでお前ら(魔術科)だけ行き先がアメリカで、俺らが京都なんだ」
「京都と四国だよ」
「うるせえ!!統一しろよ。お前らも国内か、俺らも海外か、行き先を学年でどっちかに統一しろ!」
「でも予算がねぇ」
ぽつりと放たれた一言に、男たちは愕然とした表情を作る
「予算が....理由?」
「俺らが国内なのは、飛行機代が足りないから?」
結斗は肩をすくめると「君たちも国内線には乗るんだよ」と、飛行機に乗れることに変わりはないと主張した
「かかってる金が違うだろ!アメリカ!?飛行機代、1人いくらかかんだよそれ!往復10万じゃ足りねーよな、20万!?」
「妖術科と魔術科で予算を均等にしろ!」
白熱する妖術科の発言に
結斗は急に鋭い視線を向けた