生徒だけど寮母やります!3


そして全員が黙ったところで口を開く


「予算は一緒なんだよ。魔術科の飛行機代を出してくれてるのはMAだからね」


「!!!!」


「あっちは日本から見学に来た生徒から優秀な人材を見極めたいと思ってる。さらに、遠く海を隔てた日本の子供達が持つ魔力の情報も喉から手が出るほど欲しい。

日本にいる魔術系統の家系はオリジナルじゃない。海外から入ってきた血(オリジナル)が、日本で独自の発展を遂げてる可能性もある。

だから俺たち魔術科はMA見学の際、自分が持つ魔力の情報を公開しないといけない。その情報と引き換えに、旅費を負担してもらうんだ。そこまでやっても、俺たちにとって魔術は自分のルーツ。MAを見学することには自分の素性をMAに晒す以上の価値がある。

君たちにはその価値があるか?君たちにとって、はたまた、MAにとって妖術は価値があるのかな?」




妖術科にとってMAに素性を晒す価値

MAにとって妖術科に旅費を出す価値




景はリビングで扉越しに玄関で繰り広げられる話を聞きながら、口元に手を当てて深く考え込んだ




妖術科の生徒たちは言葉を詰まらせる



魔術科の旅費はMA持ち

魔術科はMAを見学する対価として素性を晒す



とは言えMAだって魔術を持つ生徒を悪いようにはしないだろう

仲間なのだから




でも妖術は?



MAに素性を晒すなんて、妖術科生徒の両親たちが聞いたら何て思う?




そんな考えが頭を巡り

ぐうの音も出ない




しかし結斗は重いテーマを投げかけた表情とは打って変わって

「まーでも、そんなこと言われても納得いかないよね。俺が何とかするね」


と、妖術科に対してニコリと笑った
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