生徒だけど寮母やります!3
「そういや寮母さん、俺が引き渡された校長室で、初めはあんま良くない表情してたけど」
「良くない表情」
ライが相生の表現を復唱すると、彼は具体的にどのような表情なのか言及する
「だから、女襲ったっつって、そんな事するなんて信じられねーって視線を最初は向けられたってことだよ」
「至極真っ当な視線であります」
目を瞑って咲夜が頷くと、結斗は安心したように薄く笑ってため息をこぼした
「そうだよね。景ちゃんってどれだけ強い子なんだろうと思ったけど、たとえ寮母という立場にいても、やっぱり強姦、酒、タバコ、そんなワードを聞いておいてアイオ君にあんなにフランクな反応をするっていうのは、やっぱり男としては少し心配に思えたから」
心のどこかにあったモヤが晴れたような彼の言葉に、相生は
「まぁ、安心していいんじゃねえ。俺のこと、普通.....に怖がってたし」
と、まだ少し結斗との距離感がつかめないでいるのかたどたどしく声をかける
結斗はそんな彼に対して水が滴る顎を小さく引き、頷いて同意した
「ん.....そうだね」
「んで、それがなんであんなにウェルカムモードになっちゃったわけ?本心はアイオを恐れてるけど、ムリヤリ明るくしてんのかな」
市河が言うと、ライが分かってないなと首を振る
「でも思うだろ、そんなのは何かズレてるし絶対上手く行く方法じゃないって。あの寮母のエキスパートが感情を押し殺して空元気で対応するって、ちょっと賢くないよなァ?」
「う、うん.....」
全くその通りである
そんなのはどう考えても景らしからぬ行動だ