生徒だけど寮母やります!3




*   *   *




と、いうことを景に話した



「そ、そうですか......」



午後8時半


風呂から上がった結斗以外の二年生の男子と寮母の仕事を一通り終えた景は、共同リビングのテレビ前に置かれた低い長方形の木製テーブルを囲んで座る


テーブルを囲む様に配置された爽やかな新緑色のソファ前に体育座りで寄りかかっている咲夜から、風呂での相生尋問会の結果を聞いた景は、このようにぎこちなく反応しただけですぐに手元の教科書に目を落とした



そう

今は夏休み明けテストを目前にした、男子寮B夜の勉強会である



「夜の勉強会ってエロいな」


「え!?そんなことより言うこと他にいうことあるじゃん?今の話『そうですか』で終わらせられてしまいましたけど!?」


自分の後ろのソファに胡坐をかいて座り、パラパラと英単語帳をめくるライを振り返ると咲夜は信じられないような視線を向ける



「聞いてますか、あの?アイオ君が本当は無罪で、景もそれを分かってたんじゃない?って話を今本人にしたらノーコメントだったんですがあのぉ?」



そんな無罪の相生は、大人しく景の横に気まずそうに座っている


彼は一応勉強道具は持ってきてはいるものの、勉強をする気がないのかそれらに触れる気配は見せない


ただ自分だけが別のことをして他のみんなのモチベーションを下げるのは悪いと思ったのか特に何もしていないため、手持無沙汰でありそうだ




「まぁその、もちろん寮母の勘で一瞬にして色々把握したなんてそんなスゴイことはないですよ、私なんかただの犬だし.....」


「なんでそんな卑屈?」


景の珍しくネガティブな発言に、カリカリと数学の問題を解いていた市河がツッコむ



そんな2人のやりとりに、目を見張った相生は


「犬......って......?」

禁断の事実を聞いてしまったかのように顔色を変えた

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