生徒だけど寮母やります!3
「って俺の電話のことで話脱線させてごめんね。みんながノンケって事もアイオ君に伝わったと思うし、景ちゃんもあんまり長くココにはいれないから、勉強しようか」
テストを目前に
結斗は明るく、雑談タイムに変わってしまった空気を勉強の時間へと修正する
あと1時間ほどで女子寮に戻らなければならない景も「そうだね」と頷いて体育座りの膝に立て掛けてあった教科書を手に取る
ノートをめくったり、ペンを手に取ったりと、それぞれが勉強再開へと動く中、特にやることがなさそうにその光景を眺めている相生に気がつき、咲夜は優しく声をかけた
「もしかして勉強道具、男子寮Aに置いてきた.....?貸そうか?」
「え.....いやいい。教科書は持ってきてる。でも別に、卒業後も就職するだけだし、テストとか俺には関係ねぇから」
その言葉に結斗はふわりと微笑む
なんの笑みかとピクリと反応する相生に対し、彼は素直に賞賛の言葉を送った
「大学とか専門とか色んな進路がある中で、卒業後働くんだって、今から決めてるの立派だね」
「え.....いや.....」
「ううん、2年生の段階でなかなか出来るコトじゃないよ。でもせっかく俺たちがいるし、テスト勉強する気になったらいつでも頼って欲しいな。もちろん無理強いするつもりはないんだけどさ、学生時代に勉強したなっていう思い出は、きっと社会人人生の中で何か頑張っていく上での糧になるかなって思うんだ」
「んー.....」
言葉を聞いて、相生はくしゃくしゃと頭を掻いて小さく唸る