生徒だけど寮母やります!3
「悪く言えば外見ヤンキーで一匹狼って感じだけど、まぁよく言えば大人しいっていうか、害ある人じゃなかったと思うけど.....」
「だよな」
「うん.....?」
実を言うとそこまで彼と関わりがなかった市河は、よく分からないと肩をすくめる
けれどそれは咲夜や爽馬も同じはずだ
相生は話しかけられてもYESかNO程度の返事しかしてくれなかったし
人とつるむことには興味がなさそうだった
この中で彼と友好関係を築けた者はいない
「そっか、じゃあいっちーにとっても、相生君?は悪い人じゃないんだね」
咲夜と並んで話を聞いていた結斗が尋ねると、市河は「と思ってた」と頷く
「ところが、結構やらかしたらしくて、先生達の逆鱗に触れて2週間ここで謹慎なんだと」
信じられないような顔で咲夜が言うと、彼を知っている市河も顔を引きつらせ「え、本当に?」と聞き返した
「監獄か、ここは」
ライが鼻で笑いながらスルメイカを口に放り込む
「結構やらかしたって何したの」
尋ねた市河に対して、知っているのであろう咲夜と結斗、爽馬は顔を見合わせる
「それは.....」
咲夜と結斗は言うのをためらっていたようだが、そんな2人を気にすることなく爽馬は物怖じせずにスパリと言い切った
「強姦」
「ごっ.....!?」
予想をはるかに超える答えにスルメイカを喉に詰まらせる市河
これにはさすがのライも驚いたようで、目が大きく開かれている
その場にいた二年生男子5人は、今朝忙しなく、しかしどこか嬉しそうに男子寮Aへと向かった寮母の顔を思い出した