生徒だけど寮母やります!3
咲夜の言葉通り会場内は3年生で溢れ、知った顔はざっと見たところ見当たらない


「知ってる顔がおらんわ。ひょっ...とすると場違いかもしれへんな」

「ひょっとするわね」

「わん」


会場入りに少し躊躇い足を止めた面々(特に相生)に対し、そんなことはどうでも良さそうに入り口を突破し出すライと爽馬


市河がそんな彼らの背中を唖然と見ながら「肝座ってんなー」と零すと、振り返ったライは

「3年の顔は知らねーけど、お前らも“誰だよ”って顔してるから」

と人差し指をピッと向ける


そう、この大所帯

構成は美女8人(うち5人は見かけ正体不明)と犬一匹だ



ここまで来て引き返すのもアレなので、それぞれは顔を見合わせつつ会場内へと足を進めた



中はどうやら立食パーティースタイルでいくつものテーブルと軽食が設置され、その周りを中心に人が溢れている


運営と思しき男子生徒が入り口付近で、拡声器を片手に「魔術科のテーブルは右側、Eastサイドでーす。妖術科のテーブルは左側、Westサイドでーす。軽食は自分の科のテーブルからお取りくださーい」と誘導していた


キョロキョロとテーブル見渡した市河が感嘆の声を上げる

「思ったよりショボくない。軽食はお洒落なの色々あるな、良かったね咲夜」

「本当まじお洒落だよ、良かったよ。アスパラとコンビーフのホットサンド、小海老のペペロンチーノ、あっちにデザートもあるし。景は犬だから食べれないけど。え、てか何あれ!」

「わん????」


咲夜が指差す先、会場最奥地の正面には大きなステージがあり、男子生徒が手品を披露しているのが遠目に分かった


魔法や妖術が使えるぶっ飛んだ生徒たちを前にしてオーソドックスな手品をあえて披露するのは、この世界でよくある皮肉ネタだ


逆に物凄い盛り上がりをみせている



「行こーぜ」

「こら咲夜。一応女の子なんだから綺麗な言葉を使いなさい」

「行きましょう市河さん」

「よし行くぞ!」


これは面白そうなものを見つけたとばかりに駆け出した咲夜と市河に続いて、景たちはメインステージへと向かった
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