生徒だけど寮母やります!3
「ねぇそれマジで?佐原と藤原が巡り巡ってデカくなった噂信じただけとかじゃなくて?」
「あ、そうなのかな?あいつらバカだもんな」
市河と咲夜が無駄に声を潜め首をかしげたとき、遠くからガチャリとドアが開く音がして、全員は誰かが寮に帰ってきたことを察知した
「ただいまー」
「「景.....!」」
一年生の誰かかもしれないとも思ったが、ナイスタイミング、声の主は景だ
弾かれたように立ち上がったライに続いて、5人は玄関へと駆けつけた
そして景の隣には案の定
咲夜、市河、爽馬の去年のクラスメートである相生の姿があった
派手な金髪、耳にはピアスとイヤーカフ
胸元にはシルバーのネックレスが輝き
グロテスクなプリントのバンドTシャツにダメージの入ったスキニージーンズが似合っている
見た目はまさにヤンキーだ
「おぅふ相生.....」
言葉を詰まらせた咲夜の気持ちを知ってか知らずか、景はとなりの高身長な相生を見上げてにこりと微笑む
「ようこそ男子寮Bへ〜。みんな、今日から2週間一緒に生活する相生君を連れてきたよ。咲夜達は妖術科だから知ってるかな?」
「「うん.....知ってるけど」」
困惑気味に頷く市河と咲夜
『景は知っててコレなのか?』とライが目線で訴えると、市河は首をひねりつつ
「と、とりあえずよろしくな、相生」
とぎこちなく片手を上げた
相生はちらりと市河を一瞥して
「あぁ」
と一言返事をする
それで終わりかと思ったが、意外にも彼は景に顔を向けて口を開いた
「.....でも俺は謹慎だから2週間部屋からは出ないっすよね」
爽馬と似て言葉に抑揚はなく、それが確認なのか疑問なのかは分からないが彼は自分の立場を結構分かっているらしい
つまり彼は、よろしくと言われても、これから先の2週間君たちとは関わることがない
と言いたいのだ