生徒だけど寮母やります!3
意外なことに、ここで頼もしくも先陣を切ったのはライだった
彼はゾクリとするほど美しい横顔でステージ上の瀧居を見据えると、「いい機会だ。敵討つぞアイオ」と声のトーンを落して囁く
「あ、ああ.....」
どこか吹っ切れて自分の敵討ちのために真剣な顔つきを見せるライに、相生は少し驚いて戸惑いつつ頷いた
そんな様子を見て、ライと長らく共同で暮らしている咲夜と市河は苦い笑いをこぼす
「あーあ、ありゃ完全に何食わぬ顔でエラっそーに座ってる瀧居さんに怒りが沸き上がりましたわ」
「これだから怒りの沸点が低い男ってやあね。今は女だけど」
さらさらの黒髪を揺らしつかつかとステージに歩み寄った美女ライは
「瀧居先輩」
と声を掛ける
瀧居は見たこともない美しい女子生徒から声を掛けられたことに気が付くと、誰だろうかと僅かに目を見開く
彼は足を組んだまま椅子から立ち上がろうとはせず、ライのことを右手でひらひらと手招いた
「来いと.....?」
「おっと瀧居氏、天下の火野ライともあろう器の小さい男を何と手招きで呼んでしまう痛恨のミス!これは痛いですね布川さん」
「彼もともと器は醤油皿だったんですけどね。どうやら今日はペットボトルの蓋のようですから、運が悪いですよ瀧居氏」
マジックショーが終わり生徒の視線はステージに注がれていないものの、だからといって独断で生徒をステージに上げる傲慢さ
やはり好かない
50cm程の高さのステージにライが大股で飛び乗ろうとするのを3人は全力で阻止すると、連行するかのよう脇のステップからステージ上へと連れて行った