生徒だけど寮母やります!3
確かにその通りだ
「今相生君がここにいるのがバレたら、景だって色々言われてしまうものね…」
景の身を案じた有姫は、急に言葉の勢いをなくす
最近まで爽馬のために好き勝手やらかして謹慎していた景にとって、寮母として慎んだ行動を心がけたい今日この頃
それでも無罪の相生を変装させてLOSに連れてくるなど既に危ない橋を渡りすぎだ
「隠密に隠密に、だって」
腕の中にいる景の心の声を爽馬が代弁する
「景ちゃん…」
「謹慎のこともそうだけど、今ここですべてバラしてしまったら、結局アイオが女子生徒助けた意味がなくなってしまうからって」
「てかなんで小高は景の心の声が分かるん?……まーな、でも意味なくなるっていったって、あの女の子だって自業自得、本来ならば咎められて普通やねんで」
納得がいかない部分が大きいのか、鈴菜はもやもやした気持ちを吐露する
「うん、それは僕たちも散々言った。その上で、あまりにもアイオ自身が納得してそうしてるから、僕たちにはどれだけ納得がいかなくても口をだせない」
「分かるわよ、あんたの気持ち」
「うん、そうやな。相生君が庇った結果を自分の気持ちだけで台無しにしたくないっていう、みんなの気持ちは分かる。あの子を生かすも殺すも、相生君が決めればええんやけど……」
「鈴菜ちゃん……」
そう言いつつ、鈴菜は事の成り行きを見守るべく再びステージ上へと注目した
なんだか女子生徒と瀧居が言い争っているようだが、いまいち聞こえ辛い
「声遠いんよなー…何言ってんのかな」
「さあ……?」
人混みに紛れて、鈴菜と有姫は耳を大きくしながら、一歩ずつ徐々にステージへと近づいていった