生徒だけど寮母やります!3




「「いた......」」



景は突然男子寮Bにやって来た男子生徒2人を見て、一体何事かと顔色を伺うように頭を下げる



「ど、どうも」

「景ちゃんのお友達ー?」

「......ううん......えっと、お2人は......妖術科の?」




_______確かこの2人は、同級生の妖術科の生徒だ


名前は知らないが顔に見覚えがある

記憶を辿りつつ自信なさげに尋ねると、彼ら2人は頷いた



「そうです。俺ら布川やヒナと同じクラスで」

「今年度から生徒会役員やってるんで、伊吹会長にもお世話になってます」


「それはそれは......」


ドギマギしながら再び頭を下げる景の横で、満宵はパアッと笑顔を浮かべた

「お2人とも先輩たちのお友達?こんにちは!誰かに用事ですか?」


無邪気に聞かれて2人は顔を見合わせる



少しの間ののち、1人が申し訳なさそうに首を振った


「いや......特に用事という用事はなくて。ただちょっと、笠上さんがココにいるか確認したかったんです」


「私が......?」


「はい。今日ずっと男子寮Bにいました?出かけたりしてないですか?」


「いえ、ずっとココにいましたけど......お風呂掃除がなかなか終わらなかったので」



具体的な景の回答をすんなり信じた様子で、彼らはぎこちなく笑顔を見せる


「あー......そうですか。ならいいんです。ありがとうございます」

「いえ......」

「突然こんなこと聞いてすみません。......あ、そうだ。小高、戻って来たんですか?」


1人が思い出したように言うと、もう1人も「俺も気になってました!!」と景を見る



景はその勢いに多少面食らうも、笑顔を作って頷いた


「そうなんです。まだ学業復帰するかどうかは決まってないんですけど。本人はできればまたここで勉強したいって」


「そうですか!」

「よかった!」



2人の笑顔を見て、景ははたと気がついた



_______そうか


この人たちが咲夜や市河と同じクラスということは、小高家突撃隊にいたということだ




「突然すみませんでした」

「では、また」



そう言って2人は浅く頭を下げてから踵を返す



「また来てね〜」


無邪気に手を振る満宵の横で



景は彼ら2人の後ろ姿を


呆然と見送った




< 70 / 115 >

この作品をシェア

pagetop