生徒だけど寮母やります!3
「「いた......」」
景は突然男子寮Bにやって来た男子生徒2人を見て、一体何事かと顔色を伺うように頭を下げる
「ど、どうも」
「景ちゃんのお友達ー?」
「......ううん......えっと、お2人は......妖術科の?」
_______確かこの2人は、同級生の妖術科の生徒だ
名前は知らないが顔に見覚えがある
記憶を辿りつつ自信なさげに尋ねると、彼ら2人は頷いた
「そうです。俺ら布川やヒナと同じクラスで」
「今年度から生徒会役員やってるんで、伊吹会長にもお世話になってます」
「それはそれは......」
ドギマギしながら再び頭を下げる景の横で、満宵はパアッと笑顔を浮かべた
「お2人とも先輩たちのお友達?こんにちは!誰かに用事ですか?」
無邪気に聞かれて2人は顔を見合わせる
少しの間ののち、1人が申し訳なさそうに首を振った
「いや......特に用事という用事はなくて。ただちょっと、笠上さんがココにいるか確認したかったんです」
「私が......?」
「はい。今日ずっと男子寮Bにいました?出かけたりしてないですか?」
「いえ、ずっとココにいましたけど......お風呂掃除がなかなか終わらなかったので」
具体的な景の回答をすんなり信じた様子で、彼らはぎこちなく笑顔を見せる
「あー......そうですか。ならいいんです。ありがとうございます」
「いえ......」
「突然こんなこと聞いてすみません。......あ、そうだ。小高、戻って来たんですか?」
1人が思い出したように言うと、もう1人も「俺も気になってました!!」と景を見る
景はその勢いに多少面食らうも、笑顔を作って頷いた
「そうなんです。まだ学業復帰するかどうかは決まってないんですけど。本人はできればまたここで勉強したいって」
「そうですか!」
「よかった!」
2人の笑顔を見て、景ははたと気がついた
_______そうか
この人たちが咲夜や市河と同じクラスということは、小高家突撃隊にいたということだ
「突然すみませんでした」
「では、また」
そう言って2人は浅く頭を下げてから踵を返す
「また来てね〜」
無邪気に手を振る満宵の横で
景は彼ら2人の後ろ姿を
呆然と見送った