生徒だけど寮母やります!3

景は拍手を減速させつつ



「そっか......」


と呟いて相生を見つめた



視線に気がついた相生は、バツが悪そうに下を向く


「まぁ、ありがたい話だけど。付き合うとか、そういう気持ちはないし」


「うん」



そこは自分が口を出すところじゃない


みんなもそう思ったのか、誰もそれ以上その話はしなかった



「ところで景」


ライがソファでケータイに視線を落としたまま、呼びかける


「吹奏楽部?は見れなくて残念だったな」

「そっ、そうだった!!凪のコンマス姿見るために出かけたんだった!!」

「忘れてたかよ」


その愕然とした表情に思わず苦笑いを浮かべるライ


そのタイミングで咲夜のお腹がグ〜っと鳴った

「はは、お腹すいたー......」


その音を聞いた景は追い討ちをかけられたように愕然とする


「も、もしかしてみんなLOSのご飯食べてない?小海老のお洒落なパスタとか......」

「「食べてない食べてない」」

「そんな暇なかっただろ」

「大変だ......今日はそのつもりでオバちゃんに夕飯抜きって連絡してあるんだった......」



サーっと顔が青ざめている景を、みんなが不安そうに見つめている


計画が狂ったとはいえ

完璧寮母がこんなに追い詰められている姿は珍しい



「ははは、ちょっと新鮮。そんなに慌てなくても」

くすくす笑う咲夜



景は「やっちまった......」と呟きながらその場にしゃがみ込んだ


「あのー、今日の夕飯はみんなでカップ麺で、よいですか」

「ダメなわけないでしょ」

「ああ」

「ありがとう、爽馬......アイオ君......ごめーーーん......」


申し訳なさそうな景の姿に、男子寮Bは笑いに包まれたのだった


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