生徒だけど寮母やります!3

「だからもしも何かあったら......例えば妖術結社に小高くんの引き渡しを求められたら、学校は事情を詳しく知らなかったとして、妖術結社に歩み寄り、和解を目指す姿勢を見せるわ。

引き渡しを拒否した結果、学校と妖術結社の対立が起こり得るようならば、引き渡すでしょうね。学校には小高君を守りきれる環境はないということよ」



マナはそう言うが、その時はその時で実はチャンスでもある


なぜなら妖術結社自体は狐学会や伊吹グループ襲撃には関与しておらず、その中の特定の幹部(黒幕)が、小高公俊や月沼トレーディングの暴挙を黙認したか、もしくはその黒幕の命令により起こった騒動であると考えられるからだ



爽馬たちが所属する狐学会のメンバーは伊吹グループを襲撃した結果、社会的に顔が割れれば首を切られゴミ箱行き

黒幕にとっては足がつかないようにするための、トカゲのしっぽにすぎなかった



もしも学校側が、誰が爽馬の引き渡しを求めているのかを明示させることができれば、黒幕に繋がることもできるかもしれない


黒幕は恐らく妖術結社にとっても裏切り者だ



自分の置かれた状況にはとうに覚悟を決めている様子で、爽馬は端的に話をまとめた

「だから、僕が市河家や学校に全てを知った上で保護されて助けられてることを、ここにいるみんな以外の誰にも勘付かれないように学校生活を送る、その条件が飲めればここに戻ってこれるってこと?」


「そうよ、あなたたち全員がそれを隠して生活するの。あのうるさい女たちも知ってるんでしょ。彼女たちにもしつこく言い聞かせて置くわ」



うるさい女たちとは鈴菜と有姫、柊のことだろう

柊に関してはとんだとばっちりである


景は苦笑いしつつ頷いた

「彼女たちなら、大丈夫です。実は先生も分かってると思いますけど」


マナはどうだか、と口をへの字に曲げてから

「あと月沼君ね」

副担任として自分が受け持つ生徒の名前を出した

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