生徒だけど寮母やります!3


「そうです......数学失敗したんです」


消え入りそうな声で報告すると、ライは「はぁ」とため息をつく


しょんぼりとして可愛そうな景を不憫に思った市河は、助け舟を出した

「ライ、そんな追い詰めなくても......。数学を使わなくても受験できるところはあるわけだし。景も数学以外は結構できるし」

「え......」


よく聞くと「数学は諦めろ」と言われているような気がしなくもない


ある程度勉強した上でこの結果なのだから、この言葉は結構胸に刺さる



そんな景の気持ちも知らず


2年生の中で1番成績の良い咲夜も「そーそー」と頷いた

「毎日寮母の仕事もあって忙しいんだから。難しいよ数学って」

「う......」


今回も1番出来が良かった彼のフォローは、市河のそれよりもさらに胸に深く刺さった



「みんなフォローするつもりある......?」

これほど文系脳を悲しく思ったことはない



側から眺めながら苦笑いするルーク

「知らぬ間に人を傷つけるって、こういうことだよネ」



落ち込んだ様子の景に、ライは

「お前はこれから毎日俺と数学やるから」



そう宣言した


< 87 / 115 >

この作品をシェア

pagetop