生徒だけど寮母やります!3
【修学旅行─ 教職員の引率のもとに,児童,生徒が日常経験しない土地の自然や文化を見学し学習するために行う旅行のこと】
「き、キターーーーー!!」
結斗の口から出たココロ踊る単語に真っ先に反応したのは咲夜だ
両手を高く上げて喜んだ彼は強引に市河とハイタッチを交わし、パンッと乾いた音を立てる
「やったねいっちー。最近、修学旅行いつかな?って話ししてたもんな」
「あ、あぁ......てか結斗、お前凄いな。生徒会長って修学旅行にも口出すんだな」
「まぁね」
景は数学特訓よりよっぽど楽しそうな話題に久しぶりに笑みを浮かべると
「ほんと!?修学旅行!?」
と嬉しそうに結斗を見た
「そうだよ景ちゃん。一緒にお泊まりしようね」
「凄い!みんなで旅行なんてしたことないもんね。楽しみー!」
キラキラ輝く景とは正反対に、ライの表情は浮かない
「どーせ九雷や波屋が邪魔なんだよ」
結斗は吐き捨てられたライの言葉に苦笑いすると
「確かに旅行だけど、勉強しに行くんだからね」
と釘を刺す
「えーー勉強ーー?優秀な俺には必要ないでーす」
「俺にも必要ない」
成績優秀な咲夜とライがブーイングすると、結斗は笑顔を保ったまま「君たちは.....」と呟き、呆れた様子で肩を落とした
ここで爽馬が冷たく言い放つ
「いや、君たちは馬鹿だから勉強した方がいいよ」
「えーちょっと!酷いよ!」
思わぬ刺客の登場に、咲夜が悲しそうな表情を見せる
景はこの中で成績トップの咲夜が馬鹿なら全員馬鹿になってしまうのでは....?と思うが、そう言うことではないらしい
「確かに君たち、勉学では成績がいいかもしれないけど、もうちょっと社会を知って常識とか身につけた方がいいよ」
景はソファに頬杖をついて聞きながら
「おぉ......ちょっと同意かも」
と溢してしまった
言い方は厳しいが間違ってはない
ライはどストレートなダメ出しに、珍しくぽかり口を開けた
「お前が言う......?」
咲夜も顔を引き攣らせ、爽馬を恐ろしいものでも見るような目つきで見据えている
「こいつ、この数ヶ月で社会(妖術結社)に揉まれてきた自負がある......!!」