生徒だけど寮母やります!3



「えっと......」


景は咲夜になんと声をかければ分からず、キョロキョロと視線を泳がし結斗やライの顔を伺う


確かに

自分たち魔術科にとっては聞き馴染みのあるMAも、咲夜と市河と爽馬にとっては無関係の場所だ


_______いや、MA本部に所属しているルークと連絡を取り合った爽馬にとっては、完全に無関係とも言えないが.......



とはいえ、逆の立場だったら自分やライ、結斗が妖術結社に見学に行くようなもの


咲夜が困惑するのも無理はない




「MA本部なんて、きっと機密も多くて私たちの見学でさえ厳戒態勢だよね。大人数の妖術科の生徒を、受け入れてくれるかなぁ......」


事を深刻に捉え黙り込む景とは対照的に、ライはどうでもよさそうに笑った


「無理だろうけど、いいじゃん。お前ら妖術科は観光でもしてれば」


「なんだよ他人事だなー!俺らもMA本部見学させてくれよライぃぃ......!」



腕にしがみついて懇願する咲夜を、ライはウザそうに振り払う

「ちょっ、俺に言われても。さっきまでは修学旅行で勉強したくないって言ってただろ。てかルークに頼め!」

「そんな権限はないヨ」


俺が修学旅行に行くわけでもないしネと、ルークが首を振ったところで、結斗が「ていうか咲夜」と口を開いた



「ん?」


「君たちは妖術科なんだから、MA本部じゃなくて妖術結社に見学に行くんだよ。四国だか京都だか知らないけど」


「「「.............!!??」」」



___________え?



結斗の発言に景は今日イチ耳を疑う



今までの会話で不憫な妖術科を笑っていたライも、結斗から出た妖術科を突き放すような発言に目を見開いた


「それって」

「結斗.........え........」



呆然と立ちすくむ咲夜



市河はそんな彼を見かねて

「えっとー、修学旅行とはまた別に?妖術結社で勉強してこいって話だよな?」

とぎこちなく笑う




にこやかな結斗の口から出たその答えは



「いや、修学旅行の一環だけど」



であった








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