ダブル~私が選ぶのはどっち~
「まあ、そんな所ね。」

「どちらかと結婚しようと思わなかったの?」

それは和華の素朴な質問だった。

「私ね、親の離婚の時に父を選んだでしょう?未だにそれが正しかったのか、分からないの。だから自分の選択は信用できないのよ。その時は最良の答えだと思っても、後でそう思えないんじゃないかって少し怖いのよ。」

すると和華はわざとと思えるくらい、大きく息を吐いた。

「琴乃の選択は本当に間違っていたの?」

「えっ?」

「お父さんと再婚相手の人は大事に琴乃を育ててくれたんでしょう?そんな愛情をもらえて、それは最良の答えではなかったの?」

私は言葉を返すことが出来なかった。

「お母さんだって、お父さんと暮らしている間、一度も会いに来なかったんでしょう?その理由は分からないけど、そんなお母さんと生活をして琴乃は幸せになれたのかな?結果論かもしれないけど、私は琴乃が自分の幸せを求めていたのなら、その選択は間違っていなかったと思うよ。」

和華の言葉に私の目に涙が浮かぶ。

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