ダブル~私が選ぶのはどっち~
「結婚して、こうして妊娠したから分かる事もあるのよ。琴乃にどちらについていくか決めさせたのも、それを承諾したのも両親の愛だと思うよ。」

「和華…。」

私はいつの間にか涙をぽろぽろ流していた。

「もっと早く和華に相談していればよかった…。」

「ううん、子を持つ親になる今だから、私だってそう言えるんだよ。」

和華の声は優しく響く。

「やっぱり自分のパートナーは自分で選ばなきゃね。」

私は涙を必死に手でふく。

「和華、ありがとう。私、ちゃんと考えてみる。」

「そうね、仕事のように結果は直ぐに出ないと思うけど、死ぬ時にこの人と一緒に過ごせて幸せだったと言えそうな人を選んでね。」

和華のその言葉を聞いて、私はとても穏やかな気持ちで電話を切った。















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