ダブル～私が選ぶのはどっち～
そんな石原さんと入れ違いに、懐かしい声が聞こえてきた。

「2日間お世話になります。」

そう言ってオフィスに入って来たのは、草野主任。

その後ろから矢田君の姿がちらりと見える。

草野主任の視線が私をとらえた。

そして私に一瞬笑いかけたが、すぐに違う方に視線を移した。

後ろから矢田君が私を見て、嬉しそうな表情を見せた。

誰もいなかったら、手を振られていたかもしれない。

「おお、草野。良く来たな。君が矢田君だね？」

林主任が二人をにこやかに出迎える。

「本社は新人研修以来です。」

矢田君の初々しさは、オフィスの雰囲気を明るくした。

林主任は草野主任と矢田君と打ち合わせのために会議室に入っていった。

会議室に入る前に、林主任は私に合図を送ってくれた。

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