ダブル～私が選ぶのはどっち～
－ごめん、今取引会社についた。健闘を祈るわ。－

私は返信をし始めていたが、それを削除した。

少し慎が気になったので、もう少し様子を聞こうと思ったのだけれど…。

「さあ、私も頑張ろう。」

そう言って、取引会社に今日一日で何件回ったのだろう。

会社に帰るのをなるべく遅くでいいと思う気楽さから、私はその時間をフルで営業に回した。

お蔭で見積りの依頼を数社からもらえた。

私は少し気を良くして、定時を少し過ぎたところで会社へ戻った。

「遅かったな。営業の成果は上がったか？」

林主任がにこやかに迎えてくれた。

そばには当然草野主任と矢田君が居た。

「おう、久しぶりだな。担当の会社の数がすごいんだって？」

そんな風に笑いかける草野主任は支社に居た時と全く変わらないように見えた。

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