ダブル~私が選ぶのはどっち~
「吉川さん、どうしたんですか~?」

ふらふらと石原さんがやってきた。

「あれ?凌平じゃない、どうしたの?」

そんな石原さんを見て、矢田君は不機嫌そうな顔を見せた。

「今日は泊まりでお前の家に行くって言ってあっただろう?」

「えっ?そうなの?石原さん。」

「はい、でも今の私は吉川さんの誕生日の方が大事だったので。」

石原さんはヘラヘラと笑った。

「違うでしょ?」

私は石原さんを支えながら、顔を覗き込む。

少し間をおいてから、石原さんはつぶやいた。

「…だって、そんなに早く決断が出来なかったんだもの…。」

矢田君は少し怪訝そうな顔を見せた。

「凌平が私の事をどう思っているか分からないのに、先に結婚しようと言われたって、戸惑うだけだわ…。」

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