ダブル~私が選ぶのはどっち~
矢田君の顔を見て、すっかりお酒が醒めてしまったように見える石原さん。

「とにかく、矢田君とちゃんと話をしなさい。さっ、荷物持ってくるから。」

私はその時、矢田君の後ろの人影に気がついた。

「琴乃さん。久しぶりだね。」

ああ、私の事をそう呼ぶのは…。

「吉川さんこそ、庄司とちゃんと話をして下さいね。」

矢田君はそう言うと、ずけずけと部屋の奥に入り、石原さんの荷物を取って来た。

そして玄関で石原さんの腕を掴んだ矢田君。

「お邪魔しました。」

矢田君は半分石原さんを引きずるように帰って行った。

さあ、石原さんはどんな結論を出すんだろうか。

それも気になるが、今は…。

「琴乃さん、お誕生日おめでとう。」

< 121 / 193 >

この作品をシェア

pagetop