ダブル~私が選ぶのはどっち~
慎は背中の後ろに隠していた大きな花束を私に手渡した。

「どうしてここが分かったの?」

私は不思議そうに慎を見上げる。

「うん、仕事を頑張っていたら、小田さんがご褒美をくれた。一回ちゃんと会ってきなさいって。」

和華ったら…。

「三人のうちの一人は俺だって伝えてくれって言われたんだけど、どういう事?」

和華がスマホに送ってくれた赤ちゃんとのツーショットの写真を思い出す。

じれったくってお節介をやきたくなったのかな、新米ママ。

「琴乃さん、中に入れてよ。」

「あっ、そうね。」

私はリビングに慎を連れていく。

慎の視線が私の首元に注がれる。

「それ、ちゃんと持っていてくれたんだ。」

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