ダブル~私が選ぶのはどっち~
「琴乃さんに追い付きたくて、琴乃さんに認めてもらいたくって、この4年間、頑張って来た。」

そして慎はそっと私に近づいて、私を抱きしめた。

「どうかな、琴乃さん。俺はプロポーズの答えをもらえるほどの男になれたかな?」

私はその時にしみじみと感じた。

なぜ草野主任ではなく、慎を選んだのかを。

私はずっとこういう慎の姿を…、不器用だが一生懸命の慎の成長を私は見て来たのだ。

そして自分で努力する男は懐が深い。

私が逆にそんな慎にずっと見守られていたのだ。

そう、まるで両親が私にどちらを選択するのかを任せたように。

結局、私には既に出来上がった男は似合わないのだ。

尊敬と愛情は違うのだ。

「俺達さ、お互いに会っている時の相手しか知らなかったから…。」

私は慎を見上げた。

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