ダブル~私が選ぶのはどっち~
「琴乃さんが家庭教師としてうちに来てくれた時から…、俺には琴乃さんしか見えていないから…。」

そして慎はじれったいというかのように、私にキスをした。

それはとっても優しく…、お互いがお互いを味わい尽くすようなキスだった。

慎はなかなか私の唇を離してくれない。

その時間が永遠に思えた。

「琴乃さん。」

慎は唇を離すと、私のおでこに自分のおでこを当てる。

「…そろそろ琴乃さんの言葉で返事が欲しんだけど。」

慎の目の前の表情に男の色気を感じてしまって、私は一瞬体勢をふらつかせる。

「琴乃さん、大丈夫?」

慎がそっと私の身体を支える。

私は思いきり背伸びをする。

なんだか慎にもっと近づきたくて。

「仕事を辞めて、慎と結婚しようかな。」

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