ダブル~私が選ぶのはどっち~
それならば、残業もそこそこで帰らないと。

「吉川、ちょっと良いか?」

林主任が会議室を指さしている。

会議室に入ると、林主任は少し難しい顔をしていた。

「吉川、転勤の内示が出ているんだけど。」

私は林主任の想定外の言葉に驚いた。

今度は転勤の希望は出していないはず。

「今度新しい支社が出来るのは知っているだろう?そこに主任として赴任してもらう話が来ている。」

林主任は私の表情を伺っている。

「しばらくは営業部門だけ置く予定らしい。だから前に居た支社のようにすべてをまた自分でやってもらわなくてはいけない。更に部下を何人か束ねる事になる。」

林主任によると、私の本社転勤は今度の事と関係していた。

私を本社に呼んで、その新しい支社を任せて良いのか査定がされていたらしい。

「まあ、吉川の仕事が認められたって事だ。」

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