ダブル~私が選ぶのはどっち~
石原さんはぺこりと私に頭を下げると、ニヤリと笑う。

「そうね。なるべく早く切り上げるわね。」

そう言いながらも、私はまだ少し時間がほしかった。

「キリの良い所までは何とかしていかなくちゃ。」

今日回った取引会社の自分なりのまとめをしていかないと気が済まない。

これが次の営業につながるのだから。

結局私はそれから2時間ほどしてから会社を出た。

「やっぱり直ぐには帰って来ないですね。」

石原さんは私の顔を見ると愚痴った。

「でもタイミングばっちりです。私の方も今準備が出来ました。」

料理上手な石原さんは、お酒に合わせたおつまみを作るのが上手だ。

私は着替えて、テーブルについた。

「いつも美味しそうなものを作るよね。本当にすぐにお嫁さんに行けそうだね。」

私は何気なくそう言って、手を合わせた。

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