ダブル~私が選ぶのはどっち~
私はビールを飲みながらつぶやく。

「そうじゃなきゃ石原さんだって矢田君の事を好きにならないよね。」

「えっ?」

今度は真っ赤になる石原さん。

さっきから目まぐるしく変わる石原さんはまさに恋をしている女性の顔だ。

「それでこないだは喧嘩別れしたんだね。」

石原さんはシュンとしてうなずいた。

「凌平を部屋から追い出しました。それ以来私からは一切連絡していないです…。」

声まで小さくなって来た。

「あらら、矢田君も可哀そうに。」

「私は吉川さんほど薄情ではないです。」

それは私が草野主任と慎のプロポーズに返事をしないまま転勤をした事を言っているんだろう。

「それで石原さんはどうしたいの?」

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