ダブル~私が選ぶのはどっち~
私はまじまじと石原さんの顔を覗き込む。

「…凌平とは一緒に居たいんです。でも…、仕事も辞めたくないんです。」

私はそんな石原さんにニッコリと笑う。

「じゃあ、正直にそう伝えなさいよ。きっと矢田君にちゃんと伝わっていないだけだよ。」

私はそんな石原さんの頭を撫でた。

すると、石原さんは上目遣いで私を見上げた。

「そういう吉川さんはどうなったんですか?」

急に自分に話を振られて、私はドキリとする。

私はたどたどしく、慎との事を話す。

どこからどのように話していったらいいのか分からなくって、自分がすごく焦っている事を感じる。

「庄司君って、人間が大きいんですね。」

自分の話は忘れてしまったかのように、妙に感心しながら私の話を聞く石原さん。

「庄司君が高校三年生の時に知り合ったんですよね?8年間も思い続けるなんてもう純愛じゃないですか。それに引き換え、吉川さんって悪い女だったんですね~。」

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