ダブル~私が選ぶのはどっち~
「ちゃんと知らせるわよ。でも急ぐ必要はないかなって思っているだけ。」

私はゆったり笑う。

「その余裕はどこから来るんですか?庄司君って実はすごくイイ男なのに。」

石原さんは私の顔を見つめる。

「仕事ばかりしている吉川さんのどこが良いんでしょうね~。」

少し茶化した様子でそんな事をはっきり言う石原さん。

「草野主任だって、凌平だって、吉川さんばっかり。」

石原さんにかかると、私も形無しだ。

「きっと女としての可愛げがない所だと思うよ。」

私は営業の場面でも感じる自分の率直な感想を述べる。

「吉川さん、それは可愛げがないんじゃなくて素直って事なんですよ。」

私は石原さんを見た。

「飾らないから、吉川さんの言う事は信用できるんです。だから人間的に引き込まれるんです。」

「それが分かっているんなら、石原さんもそうやって矢田君にぶつかればいいじゃない。」

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