ダブル~私が選ぶのはどっち~
私は思わず本音を声にしていた。

「どうしようって…、それはどう受け取ったらいいの?」

慎が聞いてくる。

「だって、同じ所で働くなんて気を遣うじゃない。」

「琴乃さんは俺がそばに居るのはそんなに不都合な事なの?」

ちょっとムッとした慎の声。

「そんな事を言っているわけじゃないわよ。周りに気づかれないようにしないといけないし…。」

私はあたふたと慌ててそう答えた。

「琴乃さん。」

慎は私を冷静にさせるかのような低い声を出した。

私はビクッとする。

「結婚しようよ。」

「どうしてそんな話になるの?今は…。」

私は慎が何を考えているか分からない。

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