ダブル~私が選ぶのはどっち~
「いいじゃない、夫婦で新しい支社に転勤すれば。」

「慎?」

「そうすれば、自分達も周りにも気を遣わせることもないんじゃないの?」

確かにうちの会社は共働きを奨励してくれている。

「結婚すれば、すべてが解決だ。」

とてもいいことを思いついたように、慎は笑う。

私は全く考えていなかった慎の提案にやっぱり戸惑う。

「琴乃さんさえ良ければ、俺は草野主任にちゃんと報告するよ。」

やっぱり慎は私に強いるようなことは言わない。

「もう少し時間をちょうだい。」

「そうだね。」

すると慎は話題を全く変えた。

「…琴乃さん、俺さ、こっちに帰って来てから自分が自分じゃないようなふわふわした気持ちなんだ。」

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