ダブル~私が選ぶのはどっち~
「…私も同じことを言おうとしていた。」

ついこないだまで、遠距離恋愛でも良いと思っていたのに…、人間はどんどん欲が出てくるものなのらしい。

慎がこっちに来てくれたあの数日がとてもかけがいのないものに感じる。

「今まで離れていた分、これからはずっと一緒に居たいな。」

慎の何気なく言う言葉に、私はドキドキする。

「どう?琴乃さん。」

私の顔は真っ赤になっているに違いない。

「琴乃さんに触れていたいな。」

慎の囁く声に、ついつい気持ちが反応してしまう。

「琴乃さん、そろそろ観念したら?全然言葉が出て来ないじゃん。」

スマホの向こうで余裕を醸し出す慎が憎らしい。

「いいね、こっちは準備始めるからね。」

最期に慎はそう言ってスマホを切った。

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