ダブル～私が選ぶのはどっち～

17

次の日、私は早速、林主任を会議室に呼び出した。

「どうした？吉川の表情が固いぞ。」

林主任の言葉に、私の頬が少しゆるんだ。

「転勤の話か？何か状況が変わったのか？」

林主任は私の表情から、ただの仕事の話ではないと察したらしい。

「転勤は喜んでお受けします。でも…。」

林主任は首をかしげた。

「…結婚してからの赴任で良いですか？」

林主任は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに満面の笑みに変わった。

「おめでとう。でも…、相手とは別居婚という事か？」

くるくる変わる林主任の顔は、今度は眉をひそめている。

「それが…。」

私は少しためらいながら、話を始める。

「私が前に居た支社に庄司慎という営業が居ます。」