ダブル~私が選ぶのはどっち~
「もうあれから3年以上経っているのに、草野とはあれっきりか?」

草野主任が本社に出張して来て、きちんとセフレ関係を解消してから、もうそんなに経ったんだ。

確かにあれ以来、仕事上でも接点がなかった。

「でも草野主任は、し…、いえ、庄司君の上司なんです。」

思わず慎を下の名前で呼びそうになってしまった。

「そうか…、じゃあ、二人はあちらで吉川の事を話したりするのかな。」

林主任は私が思ってもみない事を言った。

慎ともこないだ再会したばかりだったし…。

-琴乃さんさえ良ければ、俺は草野主任にちゃんと報告するよ。-

あの言葉はもしかしたら、二人の関係が良好だから出たものだったのかも。

「う~ん…。」

私は唸って、動きを止めてしまった。

「凄腕の女営業マンもそうやって周りに支えられているんだな。よし、人事には話しておくよ。」

< 158 / 193 >

この作品をシェア

pagetop