ダブル~私が選ぶのはどっち~
その笑顔が私に向けられる。

「分かりました。残業覚悟で同行させて頂きます。」

私は大きな溜息をつく。

「じゃあ、小田。後は頼む。行くぞ、吉川。」

「はい。」

私はバッグを持って、渋々草野主任を追う。

課長の席でまだいろいろと指導を受けている新人3人のそばを通る。

「おう、草野。出来れば明日までに指導係を決めてやってくれ。今日は俺が面倒を見るから。」

課長が草野主任に声を掛けると、新人たちはこちらを向いて、一様に頭を下げた。

すると律儀に草野主任は一度立ち止まった。

「主任の草野です。これからいろいろとよろしく。そして…。」

明らかに草野主任は慎と目を合わせた。

< 16 / 193 >

この作品をシェア

pagetop