ダブル~私が選ぶのはどっち~
私は差し出した手をひっこめると、石原さんの前に出た。

小さな声で、会話の邪魔にならないように話かけた。

「先に帰っているね。」

石原さんは一瞬私と目を合わせると、静かにうなずく。

そして小声で、謝るようなそぶりを見せた。

私はそんな石原さんに笑顔を見せると、すっと前を向く。

私が石原さんより早く家に着く事が出来るなんて初めてじゃないだろうか。

家に着いて、私は石原さんに料理を作ろうとした。

「今日はおつまみではなく、ちゃんとした夕食にしよう。」

私はそんなに料理が得意ではない。

でも自炊はしているので、人並みには料理をする。

でも今日は…。

「時間がないから、カレーだな。」

私は早速野菜を切り始める。

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