ダブル～私が選ぶのはどっち～
私は優しく石原さんを見る。

「だから次の休みは私の実家に二人で行く事になったんです。吉川さんに心配ばかりかけてきたから、早く伝えたくて。」

石原さんの笑顔は本当にかわいい。

「よかったね、本当に。」

私はそんな石原さんを眩しく感じた。

「吉川さんこそ良かったじゃないですか。やっぱり草野主任が庄司君と吉川さんが同じ支社になるように配慮してくれたんじゃないですか？」

石原さんは林主任と同じような事を言った。

「私さ、草野主任には憎まれこそすれ、そんな配慮を受けるような資格はないと思うんだよね。」

私は顔をこわばらせた。

「凌平が言っていましたよ。草野主任にとって未だに吉川さんは大切な人であり続けているようなんだって。お酒の席で酔いが回ってくると、出てくるのは吉川さんの話ばかりだって。」

私は身体の力が抜けていくような気がした。

最期に二人で会った時の草野主任の言葉を思い出す。

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