ダブル～私が選ぶのはどっち～

18

「えっ、本当に林主任に話したんですか？」

石原さんが帰った後、今日の事を慎に電話した。

慎のその反応は私には予想外だった。

「えっ？」

私はスマホの前でオロオロする。

「ダメだったのかな…。」

私が先走りし過ぎてしまったの？

慎の言葉に、途端に私は不安に襲われる。

「…嬉しい。」

慎が囁いた。

「琴乃さんの事だから、なかなか動かないと思い込んでいた。結局、琴乃さんは決断を出来なくて、今の状態のままで二人が転勤することになるかもしれないと思っていた。」

慎が大きく深呼吸をしているのが分かる。

「琴乃さんとの関係を隠して、向こうで過ごすのは大変だなって考えていた。」