ダブル~私が選ぶのはどっち~
そして後からついていった私の方を見た。

「こちらが吉川くんだ。正直、見かけによらず仕事が出来る。いろいろと君たちを指導することも多くなると思う。」

そして草野主任が私にあごで合図した。

「4年目の吉川です。よろしくお願いします。」

私は表情を変えることなく、3人の顔を平等に見た。

すると3人がぺこりと頭を下げた。

一番先に頭を上げた慎の視線が一瞬私の視線にぶつかる。

何か言いたげなその表情。

「じゃあ、課長。今から吉川と取引会社に行って来ます。」

それを察したかのように、草野主任がオフィスを出て行く。

私もそれを追いかける。

背中に慎の視線を感じながら。

何だかとても疲れる…。

でも私がびくびくすることも、焦る事もない。

< 17 / 193 >

この作品をシェア

pagetop