ダブル~私が選ぶのはどっち~
「草野主任の分も琴乃さんを幸せにしなくてはいけないんだ。大変な役目を担ってしまったよ。」

もうダメだ…、私は慎に返事すらできない。

「琴乃さん、愛しているよ。」

慎の優しい優しい声。

「やっと手に入れた。やっと…。」

ああ…、慎に触れたい。

「今度の休みはこっちに来ない?いろいろと話をしたいし…。」

慎の声が少しうわずっている。

「二人で草野主任に挨拶に行かないか?」

私は一瞬戸惑った。

さっき石原さんと話した事を思い出しながら。

あんな話を聞いてから、私は平常心で草野主任の前に立てるだろうか。

「…草野主任は未だに琴乃さんの事を大事に思っているよ。」

静かに慎が口を開いた。

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