ダブル~私が選ぶのはどっち~
「だからこそ、ちゃんと草野主任には会わないといけないと思う。そうじゃないと、琴乃さん自身も前に進めないんじゃないのかな?」

私はそんな慎の言葉にハッとする。

「そんな琴乃さんの横に居る事に、俺はきっといつか耐えられなくなる。」

慎のはっきりした口調。

「ありがとう、慎。そうだね、ちゃんと草野主任と会おう。」

全て私の過去の行いの報いだと思っている。

でもそれに慎は寄り添ってくれるというのだ。

慎には、どれだけ精神的に助けられたら気が済むんだろう。

「私は慎に出会ったあの8年前から、ずっとこうして見守られていたんだよね。」

私は思わずそう口に出した。

まだ涙が伝った頬は当然乾いていない。

「あのね、琴乃さん。草野主任と俺は琴乃さんにとってはセフレだったかもしれないけれど、それには代えられないものを与えてもらったんだと思う。」

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