ダブル~私が選ぶのはどっち~
私はここで腹をくくって、慎に草野主任と最後に会った時の事を話した。

「そんな事があったんだ…。」

慎は絶句する。

「そう言えば、草野主任と矢田が出張で本社に行った事があったよな。」

ゆっくりと慎は言葉を選ぶように言った。

そしてお互い無言になる。

私、やっぱりこの事は黙っていた方が良かったんだろうか。

でも自分の行動に悔いはない。

「琴乃さんらしいな。」

慎はポツリと言った。

「もうこれからはすべてを俺に向けてくれる?」

私は首に手を持っていく。

そっと慎にもらった指輪に触れる。

「琴乃さんをもう誰かと共有するなんて考えられない。約束してくれ…。」

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