ダブル~私が選ぶのはどっち~
「私は草野主任と出会えたことはとても大切な思い出です。」

すると草野主任にその手をぐっと引っ張られた。

「えっ?」

私は草野主任にふわりと包まれた。

「…琴乃、本当にありがとう…。」

私の耳元でそっと囁く草野主任。

ああ、温かい。

「何やっているんですか?」

私達の後ろから、ムッとした慎の声が聞こえる。

「庄司の姿が見えたからな。」

草野主任は私をスッと放すと、慎の方を見て笑った。

「脅かさないで下さいよ。」

そして慎は私の方を睨む。

「琴乃さんも隙があり過ぎるよ、まったく…。」

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