ダブル~私が選ぶのはどっち~
「俺の知らない琴乃さんを知って、お腹がいっぱいの気分。」

二人になると、慎が私の手を取った。

「呆れちゃった?」

さすがに慎にはきつい話だったよね。

私はチラリと慎の様子を伺う。

「でも逆に安心したって感じかな。だって…。」

慎は立ち止まって、私を引き寄せた。

「やっぱり琴乃さんが戻る場所はここだって事がはっきりしたんだから。」

慎の匂いを感じる。

もうそれは大人のものに変わっていた。

「だいぶ遠回りしちゃってごめんね。」

私はそう言って、慎の顔を見上げた。

慎は意外にも…、顔を真っ赤にしていた。

「もう、そんな可愛い事言わないでよ…。」

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